第34回 本能寺の変 起こる
2月4日。
菊亭晴季
「お手前が桜花殿か? 麿は菊亭と申す。こたびはかくもめでたき席にご招待頂き、誠に光栄でおじゃる」
織田信長
「今回かように見事な茶会に招いて頂き、感謝しておりまする。お師匠さまの茶が飲めると聞いて飛んでまいりました」
超低姿勢の織田信長。気分がいいものですねぇ。
今井宗久
「おお、これは『松嶋の壺』…。この逸品があるだけで、茶会の風格が変わりますな」
椿桜花
「これはようこそ村上さま」
村上武吉
「椿屋殿、わしはかくも豪華な集まりを見たことがない。招待に応じておいてかようなことを言うのも何じゃが、わしにはその…少々居心地がよろしくない」
椿桜花
「儀式ばる必要はございません。茶席においては皆対等でございます。礼節の中にもくつろぎを感じていただけると幸いでございます」
広い会場に茶席は隈なく用意されていたが、すぐに人々で埋まってしまった。
そして、かつてない規模を誇る大茶会が始まった。
その人数の多さにもかかわらず、聞こえるのは茶を点てる音ばかり。柔らかな陽の光と、生命の息吹を乗せて、そよぐ風の中、名手の入れた茶を頂く…。「あの味が決して忘れられぬ」と後にこのときの参加者は懐かしんだものである。
戦や謀略に彩られた戦国の歴史のうちに、人々が連帯できることを示した、桜花のささやかな抵抗の跡。後に椿桜花を研究した学者たちは、この大茶会をそう捉えたのである。
茶聖の称号を獲得しました。
3月29日。
椿桜花
「真田家といえば、武田家中での信頼が高かったはずですが…」
忍者
「南信濃への織田方の攻勢が激しく、真田殿としては家名を残すことを優先して考えたものと…」
次いで…
さらに…
そして…
かくて新羅三郎以来の源氏の名門・武田家は滅亡したのである。
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